切り返しは、発酵・熟成を促進させる重要な管理作業です。目的は、
①みそを樽から出して混ぜることで、樽全体の熟成状況を均等にする
②みそを手で混ぜて温度を上げることで、大豆のタンパク質を分解する酵素「プロテアーゼ」と、米のデンプンを分解する酵素「アミラーゼ」の活性を上げ、熟成を促進させる
の2つがあります。熟成が進めばそれだけ美味しくなる。つまり、切り返しは美味しくするための重要な作業と言えるのです。
樽からみそを出し、手で混ぜ、再び樽に詰めるという、言葉にすると簡単な作業ですが、目的を理解していないと「ただ混ぜている」だけになってしまいます。混ぜ方が悪いと熟成が進まず、詰め方が悪いと雑菌が繁殖し発酵ではなく腐敗してしまうため、丁寧に行わなくてはなりません。いつも樽出しと樽詰めは教員が行っていましたが、今回はすべての作業を生徒が行いました。1班6名は『このみそを美味しくするぞ!』という思いを込めて、終始集中して丁寧に取り組んでいました。
今回切り返したみそは、次年度製造する「なんばん黒みそ」の原料になります。商品を手に取った際は、黙々と切り返している生徒を思い浮かべていただけると幸いです。
①樽出しの様子。樽の上部と下部では硬さが違います。
②切り返しの様子。「美味しくするため…」と唱えながら作業を行います。
③樽詰めの様子。空気が入らないように投げ入れていきます。